Biotage® Selektで精製工程を効率化!
ユニークな構造を有する新規物質の取得が加速

自然科学研究機構 分子科学研究所
自然科学機構 分子科学研究所

分子科学研究所 瀬川グループではユニークな構造を有する有機分子の開発とその機能解明に取り組まれています。新規物質合成における分取精製の工程で、バイオタージのフラッシュ精製装置Selektとリモート機能のSelekt Remote Controlをご活用いただいています。本日は同グループの瀬川先生にお話を伺いました。

― 貴所の研究テーマについて教えてください。

瀬川先生:分子科学研究所瀬川グループでは、幾何学的な特徴である「トポロジー」に着目し、これまでにない構造をもつ有機分子や有機フレームワークの合成法の開発、およびそれら新規有機構造体の性質の解明を行っています。難易度の高い合成では収率が数%ということもあり、不純物が多い状態からわずかな目的物を分取し、且つ最終目的物の純度を100%に近づけるために高純度を確保するのが、研究を進める一つのハードルとなっています。Selektを用いることで、これら目的分子やその合成中間体を素早く的確に分取することができています。

◆スタイリッシュなデザインと高機能が決め手 

― 以前から弊社のフラッシュ精製装置Isoleraを活用いただいておりましたが、Selektを導入されるきっかけは何でしたか?

瀬川先生:Isolera Oneを長らく使っており、使用感に満足していましたが、分取結果の共有や閲覧が他のPCではキレイにできず、現場では分取結果の画面をスマホで撮影するというハイテクなのかローテクなのか分からない運用がなされていました。クロマトグラムの表示や装置の操作を遠隔でスムーズに行いたいという思いがありました。

また、以前200-400nm(UV)のIsoleraを購入したのですが、長波長領域に吸収を示す化合物の精製の際は、やはり長波長領域の検出ができれば、吸収スペクトルに特徴のある分子を分取途中ですぐに同定して作業の効率化ができるのではと思っていました。増設のタイミングで200-800nm(UV-Vis)のタイプを導入できればと考えていました。

分子科学研究所でのインタビューの様子
分子科学研究所でSelektを操作している様子

Isolera Oneの使用頻度が上がり増設の検討をした際に、Selekt Remote Controlのデモをさせてもらいました。IsoleraOneの使用感はほぼそのままで、分取速度がさらに高速化したことや、カラムを2つ設置できることなどメリットが多く、価格面でも問題なかったので、Remote Controlオプションを付けたSelektを導入することにしました。

― データのネットワーク共有が可能で、編集もできるRemote Controlはまさにピッタリということですね。それでは、今回Selektを導入された決め手をお聞かせください。

瀬川先生:Isolera Oneも無駄のないデザインで良かったのですが、Selektはスタイリッシュでさらにかっこいいです。使用上のメリットは前述の通りです。新規ユーザーでも、分かりやすいマニュアルに沿ってすぐに使えるユーザーフレンドリーな点も良いです。

◆レポート自動アップロード設定とRemote Control機能で分取
結果の管理・解析が効率化 

― ありがとうございます。導入後の運用方法、メリットについてお聞かせください。

瀬川先生:Selektは毎日稼働している状況で、既存のIsoleraよりも使用する頻度が高いです。Remote Control機能を使って遠隔で精製を実行することは少ないですが、解析を効率的に行いたかったので満足しています。また、Selektのレポートファイルを研究室のPCの共有フォルダに自動アップロード設定にして一元管理しているので、分取結果の管理・閲覧が非常にスムーズになりました。Remote Control機能は、自分のPCのブラウザでSelektをコントロールできるので、自分の手元のファイルからSelektの本体画面に文字列をコピー&ペーストできるところなど、細かいところで作業の効率化を実感しています。

導入からまだ日が浅いため、公開できる成果は現時点ではありませんが、長い間作りたかった化合物や、予期していなかった構造を含む、様々な新しい有機分子が分取できています。Selektを使うことで精製スピードの向上による効率化や、テクニカルな部分で精製が簡単になったことにより、精製のハードルが下がり、研究が確実に進みやすくなっていると感じています。

分子科学研究所の会議室からSelekt Remoteで遠隔操作している様子

― Selektあるいはバイオタージについてご要望・コメントがありましたらお聞かせください。

瀬川先生:新しい情報を定期的に営業の方からいただけるので助かっています。オートカラム精製実例集などの技術情報コンテンツは多くの方に役立つと思います。

― Selektを活用いただいて、これからさらに実現したいことをお聞かせいただけますか?

瀬川先生:分子科学研究所瀬川グループでは、幾何学的に特徴ある分子構造や3次元ネットワーク構造に着目し、その合成手法の開発と得られた物質の性質解明研究を行っています。分子模型を組み立てるように、まだこの世にない新しい物質を自分の手で創り出す化学を推進していきます。Selekt Remote Controlなど便利な装置によって効率化できた時間は、新しい有機構造体を学生自身でデザインする時間に使って欲しいと思っています。

分子科学研究所のラボの様子

分子科学研究所は総合研究大学院大学の1コースとしてM1~D3の大学院生の教育を行っています。学生全員に手厚いリサーチアシスタント給与があり、最先端の研究設備が整った理想的な環境で、ぜひ新しい有機物質合成にチャレンジしに来てください!研究室見学・インターンシップを通年で受け付けています。

― 本日はお忙しい中ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

インタビュー実施:2024年8月20日
PDFファイルダウンロード(2MB)

導入製品

フラッシュ精製装置
Biotage® Selekt System
Biotage® Selekt Remote Control
Biotage Selekt

導入機関

分子科学研究所 山手キャンパス

分子科学研究所は、物質の基本構成単位である分子に対する体系的理解を確立し、物質が示す多種多彩な現象を解き明かすことを目指した分子科学の中核的研究拠点として、1975年に愛知県岡崎市に設立された大学共同利用機関です。2025年には50周年を迎え、『最先端をささえる最前線へ』のスローガンのもと、これからも分子科学の新たな研究分野・計測手法の開拓に挑戦し続けます。
※分子科学研究所ウェブサイトから一部抜粋

自然科学研究機構分子科学研究所の外観写真