Biotage® Selekt Remote Controlで
精製業務を効率化!遠隔操作の長所を活用し、
テーマ推進にも大きく貢献。
研究チームメンバーへのアドバイスも遠隔でソフトウェアを操作し対応!問題解決の時間短縮や、コミュニケーションエラーを防ぐBiotage® Selektの拡張機能Remote Controlで円滑なテーマ推進
国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)
本日は国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)マテリアル基盤研究センター ナノプローブグループ 林 宏暢様に精製装置Biotage® Selektと拡張機能Biotage® Selekt Remote Controlを用いた精製業務の効率化についてお話を伺いました。
― この度はユーザーインタビューを御承諾いただきありがとうございます。改めまして貴機構の事業内容、研究内容に関しましてお話を伺えますでしょうか。
林様:当研究室では有機合成を基盤とし、半導体材料や多孔質材料に応用可能な有機分子や、その多量体・2次元ナノシート合成を行なっています。その有機合成反応後の分子精製作業にSelektを利用しています。
― 原料となる有機化合物の精製に弊社の装置を使っていただいているのですね。どのような化合物がターゲットでしょうか。
林様:あまり詳細にはお話しできませんが、ベンゼン環が多く含まれる多環芳香族炭化水素系のものが多いですね。分子量は200~600の一般的なものから3000ぐらいの大きな分子まで多岐にわたります。
― 分子量の大きい多環化合物はカラム精製しにくいイメージがありますが、取り扱われている化合物群はいかがですか?
林様:確かに分子は剛直です(笑)。溶解度も悪いものが多く、結構苦労しています。ただサンプルのロード方法や溶出条件を検討することでうまく精製できています。
― その検討にSelektが有効活用されていてうれしいです。では初めに弊社の精製装置Selektやリモート機能をお知りになったのはいつでしたか?
林様:スイスのジュネーブ大学でのポスドク時に、ラボに前世代のBiotageの精製装置Isoleraがありました。学生時代にはなかった装置でしたが、使ってみると非常にスピーディーでしたので、一気に好きになりました。助教として日本に帰国した際、赴任したラボにもIsoleraがありましたが、ほとんど誰も使用していない状況でしたので、普及活動して利用者を拡大していきました。それに伴い、精製待ち時間が長くなってきたため、最新機種のSelektの追加導入を決めました。
導入に至った決め手は、精製スピードに尽きます。その後NIMSへはSelektごと移籍してきました。その後、営業の方からリモート機能の紹介を受けました。以前から、精製作業のリモート操作には興味がありました。加えて、大学からNIMSに移ったタイミングでしたので、自分の理想の研究環境を作ろうと思って導入しました。
◆Selekt Remote Controlでのリモート操作は研究員への業務サポートや教育にも最適でした!
― ポスドク時代から精製のご経験が豊富と感じましたが、自動精製装置を使用される前は主にどのような方法で精製されていましたか?
林様:ガラスのカラムに自分でシリカゲルや溶媒を詰める、いわゆる手カラム(オープンカラム)による精製を行なっていました。ポスドク時代にはIsoleraが活躍していたのですが、1台しかなく手カラムとの併用という形でした。原点抜きだけであれば手カラムでもいいのですが、Isoleraがもっとあればと思っていました。
その当時は手カラムには時間がかかり、始めると終了まで帰れないので、カラムのスタートには気持ちを高める必要はありました。そういう意味では、早く精製が終わってほしいという潜在的な希望はあったので、自動精製装置の増設には全く抵抗がありませんでした。
― そしてついにリモート機能の導入に至るわけですね。
林様:はい。導入前は、会議・ミーティング直前には精製をスタートできないので、時間の余裕のある時にスタートしていました。また、学生さんや業務員さんが分取に関して質問がある際、Selektがある場所まで行って説明する必要があるため、会議中はもちろん、出張中などはアドバイスが正確に行えないこともありました。とにかく効率が悪いと感じていました。現場でないとアドバイスできない、操作できない、は教育的にも大変不便でした。また、精製状況を居室スペースから確認できないのも不満でした。
しかしリモート機能導入後は、あらゆる面で効率的です。遠隔で精製状況を確認・操作できるので、例えば、NMRを測定しながら、その待ち時間にチェックできます。また、学生・業務員さんが困った際に、出張中でも直接画面を見ながらアドバイスできます。これまでは携帯やPCでのやり取りメインで指示をしていましたが、うまく指示が伝わらないこともありました。
しかしSelekt Remote Controlは必要であれば、こちらが画面操作もできるし、大変便利です。また、私は保育園に通う子供の子育て中で、子供の急な発熱などへの対応のため、急遽職場から離れることがあります。以前なら、精製前・途中では対応できにくかったですが、家から遠隔操作できるので問題ありません。精製作業のハードルがとても下がったと思います。指導を受ける方々からも好評です。
― なるほど。教育という面では確かに意思疎通が格段にしやすくなりますね。また先生自身のQOL(Quality of life)の向上にも一役買っているとは嬉しいコメントです。受け手側の方の印象も貴重なご意見でした。
ではこれからリモート機能の可能性について何かございますでしょうか。
林様:連携制度で他大学の学生と共同研究する機会があります。せっかくなので、サンプルのロードはこちらでやるので、学生本人がSelektの遠隔操作でご自身の化合物を精製してもらいたいです(分離条件検討など)。
― なるほど。同様に今後の共同研究先の大学や企業へSelektを導入してもらえれば、林様のサポートもついてくると言えますね(笑)。我々としてはSelekt Remote Controlの新しい提案ができそうです!
最後になりますが、改めましてSelektとリモート機能はどういった方々に向いていますでしょうか。
林様:Selektのポイントは圧倒的な精製スピードです。とある学生に使用を勧めところ、「手カラムの方が早い」、と答えて、なかなか使ってくれなかった経験があります。確かにその学生は優秀でしたので、Selektを使わなくても効率はよかったです。ただ、一回使ってくれる機会があって、精製スピードを体感してからは、Selektの虜になっていました。今年卒業した私が指導した学生は、精製としてはSelektしか使っていないです(手カラムの経験は皆無)。また業務が忙しくて、居室から実験室に行く時間も惜しい人は多いと思います。SGRを導入できれば、学生・業務員さんが困った際に居室から状況把握・操作できるため、導入はあらゆる面でプラスに働くと思います。大学では院生や助手の方が学部生へ教育する際にもいいのではないでしょうか。
― 貴重なご意見ありがとうございました。今後の参考とさせていただきます。今後ともバイオタージをよろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、お時間をいただきましてありがとうございました。
インタビュー実施:2024年5月30日
PDFファイルダウンロード(1MB)
導入製品
フラッシュ精製装置
Biotage® Selekt System
Biotage® Selekt Remote Control
導入機関
国立研究開発法人物質・材料研究機構
写真提供:NIMS
組織名称:国立研究開発法人物質・材料研究機構
英語名称:National Institute for Materials Science
略称:NIMS (ニムス)
所在地:茨城県つくば市
設立目的:物質・材料科学技術に関する基礎研究および基盤的研究開発等の業務を総合的に行うことにより、物質・材料科学技術の水準の向上を図る。
NIMSは、国立研究開発法人物質・材料研究機構法に基づき、以下の各項目に係る業務を行うことで、物質・材料科学技術の水準の向上を図ることを目的として設置されています。
・物質・材料科学技術に関する基礎研究および基盤的研究開発
・研究開発成果の普及とその活用の促進
・NIMSの施設および設備の共用
・研究者・技術者の養成およびその資質の向上
これらの業務を通じて世界最高水準の研究開発成果の創出・普及及び活用の促進に向けた取組を進め、我が国のマテリアル分野を牽引する中核的機関としての役割を果たします。
NIMS Webサイトより抜粋
国立研究開発法人物質・材料研究機構 | NIMS