株式会社ナティアス(旧:株式会社四国核酸化学)

ヌクレオチド原薬の合成に全自動マイクロウェーブ
ペプチド合成装置 Initiator+ Alstraを活用

使いやすさが決め手! 核酸 API の合成に Alstra を導入

株式会社ナティアス(Nucleic Acid Technologies in Accelerated Synthesis)(旧:株式会社四国核酸化学)
株式会社ナティアス(旧:株式会社四国核酸化学)

株式会社ナティアス(旧:株式会社四国核酸化学)では、核酸APIの開発研究にバイオタージのフラッシュ精製装置 Isolera one および Isolera LS をご活用いただいております。今回は、バイオタージの全自動マイクロウェーブペプチド合成装置 Initiator+ Alstra を使ったオリゴヌクレオチド合成について、同社の片岡正典代表取締役にお話を伺いました。

株式会社ナティアス(旧:株式会社四国核酸化学)

― まず、御社の事業概要について教えてください。

片岡先生 :
近年、ヌクレオチド薬が注目されており欧米を中心に開発が進んでいます。その中でもヌクレオチドアナローグは難治性ウィルス感染症の特効薬として上市されており、今後ますます期待される医薬品です。一方で、核酸医薬は製造上の課題があり、核酸APIの高品質化や、生産性の改善が望まれています。NATiASは自社が保有する知財や技術を活かしてこの製造上の問題を解決し、社会に貢献したいと考えています。

― 前回お伺いしたときと社名や場所が変わっておりますが、変えられた背景を教えていただけますでしょうか。

 

 

株式会社ナティアス(旧:株式会社四国核酸化学)

片岡先生 :
グローバルな活動を見据えて、2019年12月に本社所在地および組織を変更し、これまで四国核酸化学として活動してきた社名もナティアスに変更しました。神戸のポートアイランドに全機能を集約し、核酸APIやヌクレオチドアナローグの製造、核酸製造用原料の開発/販売等の事業を展開しています。新社名のナティアスは Nucleic Acid Technologies in Accelerated Synthesisの各ワードの頭文字を並べたNATiASに基づきます。先進的な製造技術を基盤として核酸素材を世界中に届けるという企業理念に加えて、逆読みすると「SAiTAN(最短)」となり、核酸の製造工程を最短化するという技術理念も込めています。

― 「最短」には気が付きませんでした!会社名は劇的に変わった印象を受けますが、事業的には四国核酸化学の時代で培った技術を活かして一段上のステージへ進まれたという印象を受けました。

片岡先生 :
早く会社ロゴをアンビグラムにしたいです(笑)。四国核酸化学時代にベースとなる製造技術の完成度を上げ、ナティアスではそれを本格的に事業化しました。核酸APIの受託製造や核酸API製造用原料の開発/販売は今も続けており、そのうえで、装置開発や、医薬用途以外の核酸素材の製造、ヌクレオチドアナローグの製造まで展開しております。
ナティアスでは、原料から反応剤、製造装置に至るまで、核酸APIの製造工程のすべてを最適化することで高品質な核酸APIの製造を実現しています。ナティアスでは製造技術開発を日々行っているのですが、その過程で得られる核酸産物をアカデミアに無償提供し、創薬研究を支援する活動も行っています。アカデミアが保有する医薬シーズを受け取り、その塩基配列をインプットして製造試験し、合成される核酸産物をアカデミアに無償で提供するというものです。多くのアカデミアの医薬シーズが創薬研究に向かうことで、国内の核酸医薬市場が活性化されることを期待しています。

◆使い勝手のいいソフトウェアが魅力!
ペプチド合成装置だけど核酸合成装置として使えそう

株式会社ナティアス(旧:株式会社四国核酸化学)

― 核酸APIの製造にBiotage製品を使用していただいていることは非常にありがたいことです。それでは、改めまして弊社のペプチド合成装置Alstraを導入しようと思った理由を教えていただけますか。

片岡先生 :
当時、ナティアスの保有する液相合成技術を実装した製造装置の開発を計画していました。AMED様から開発資金を支援されて製造装置を試作することになったのですが、一から製造すると時間と資金が必要となるため、市販の装置を改造することにしました。

株式会社ナティアス(旧:株式会社四国核酸化学)

自動合成ロボットを中心に機種の選定作業を進めていたのですが、なかなか「これ」というものに出会えませんでした。そこで、ペプチド合成装置に舵を切って探していたところ、Alstraを見つけ、導入を決めました。決め手はシリンジシステムでの注液と加熱ができるという点で、弊社が持つ液相合成技術の実装に適していると感じました。装置のデモをお願いした時に、縮合工程のパラメータを振ったのですが、フラスコでの試験結果と一致したことでそれを確信しました。ソフトウェアが非常に使いやすい点も決め手の1つでした。同じインターフェースのマイクロウェーブ合成装置Initiator+を持っていたので導入のハードルも低かったです。Linuxが好きなんです(笑)。

◆核酸合成装置にはシンプルな構造と細かなケアができることが大切

― 導入に当たって他の核酸合成装置も見られたとのことですが、他に違いがありましたら詳しく教えていただけますでしょうか。

片岡先生 :
まず、構造がシンプルな装置だということです。他社装置はチューブ類が多くて機械的な確認箇所が増えてしまいますが、Alstraは構造がシンプルなので工程確認の容易さやメンテナンス性など多くのベネフィットがあります。また他社の核酸合成装置ですと、温度がかけられないというハード面の問題、それから消耗品でも違いがあります。他社装置は反応容器を使い回すことが前提なので、コンタミリスクが伴います。その点、Alstraの反応容器はシングルユース、つまり使い捨てなのが魅力です。消耗品が安い点もいいですね。消耗品の利点は意外と大きいのです。

◆核酸合成に便利な機能を是非!

株式会社ナティアス(旧:株式会社四国核酸化学)

― 消耗品コストまで考えての導入というご意見は新鮮でした。確かに導入後のランニングコストやメンテナンスの頻度は製造業務には大きな影響を与えますね。丈夫さには定評がありますので、その点はご安心して使用していただけると思います。
御社は核酸原薬という分野でペプチド合成装置を使われており、非常にユニークな活用をされています。Alstraに対するご意見ご要望など忌憚のないコメントをお願いします。

片岡先生 :
Initiator+のように反応容器を取りかえる機構がほしいです。

― 現行のものにオートサンプラーを付け足すようなイメージでしょうか。

 

片岡先生 :
そうです。並列になってもいいので、連続的に8本自動合成できるといいですね。あとは禁水にも対応できると嬉しいです。現在は非極性溶媒で合成を行う工夫をしているため、大きな問題とはなっていませんが、試薬を置いているブロックが禁水になっているとありがたいです。あと当たり前なのですがAlstraはペプチド合成装置なので、合成モニタ用のUV波長が核酸合成にはマッチしていないところです。できればトリチル基の定量ができると非常にうれしいです。

株式会社ナティアス(旧:株式会社四国核酸化学)

― 貴重なご意見ありがとうございます。社内へ持ち帰り検討したいと思います。最後に、弊社の装置全体に対して期待するところなどご意見ご要望をお聞かせください。

片岡先生 :
バイオタージの製品はリーズナブルで、できることも多く、とても助けられています。特にフラッシュ精製装置Isoleraと大容量用Isolera LSで少量から大量の精製までサポートされているのでありがたいです。Webブラウザでモニタリングや装置の制御データ取り出しができるのは他社の製品ではないです。弊社ではiPadを活用して作業を進めていますのでとても重宝しています。また、「合成→精製」に続く、「濃縮」をもう少し工夫していただければ作業が捗るので、ぜひ新製品をお願いします。

 

― 多くのBiotage製品を使用していただきありがとうございます。インタビューも3回目になりますが、過去のインタビューの反響は我々も驚くほど大きかったです。今回もいいインタビューをさせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。

インタビュー実施:2020年9月
PDFファイルダウンロード(1.2MB)

導入製品

マイクロウェーブ合成装置
Initiator+ Alstra

URL: https://www.biotage.co.jp/products_top/peptide-synthesis-purification/initiator_alstra/

Biotage® Initiator+ Alstra は 5μmol から 2mmol までの合成スケールに対応するシングルチャンネルの全自動マイクロウェーブペプチド合成装置です。
デジタルシリンジポンプによる正確な試薬送液により、高精度なペプチド合成を行えます。装置に組み込まれたタッチスクリーンと使いやすいソフトウェアにより、ストレスフリーの操作性を提供します。

利用機関

株式会社ナティアス

株式会社ナティアスは、兵庫県神戸市ポートアイランドの医療産業クラスター地区に本社を置き、2020年4月に研究、製造、品質管理拠点を同地区で再整備しました。同社はヌクレオチド素材の製造方法を開拓し、市場に供給する研究開発型の製造企業で、とくにオリゴヌクレオチド(ODN)製造を事業の中心としています。ODNは、抗体医薬につづく次世代の医薬品として注目される核酸医薬の有効成分として利用され、同社の「Blockmerテクノロジー」によって高い品質と生産性を特長とするODN製造が実現しています。同社の製造技術はODNにとどまらず、ヌクレオチドアナログなどヌクレオチド全般を対象としており、今後の益々の活躍が期待されます。

設立:2015年10月2日(旧:株式会社四国核酸化学)
本社所在地:兵庫県神戸市