高分子ナノDDS開発にBiotageスケーリングカラムと
カラムカートリッジを活用
逆相フラッシュ精製のメソッド作成に大活躍
岐阜医療科学大学 薬学部薬学科
岐阜医療科学大学薬学部薬学科(物理系研究室)では、がん治療薬の高分子ナノDDS開発で合成されるペプチドの精製にBiotageスケーリングカラムとフラッシュカラムカートリッジをご活用いただいております。今回は同研究室の磯野蒼先生にスケーリングカラムについてお話をうかがいました。
― まず先生のご研究テーマについてお伺いさせてください。
磯野先生 :
高分子を使ったドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発を行っています。がん細胞特異的に薬剤を放出する高分子ナノDDS開発を研究テーマとしています。高分子の部分にペプチドを入れているのですが、そのペプチドは自分で合成しています。その合成したペプチドの精製で、御社のスケーリングカラムとフラッシュカラムカートリッジを使わせていただいています。
◆近接したピークの分離メソッドの作成に大活躍!
― スケーリングカラムを導入したきっかけを聞かせていただけますか。
磯野先生 :
実は、逆相のフラッシュ精製がなかなか上手くいかなくて、少し困っていました。他社の装置で大変申し上げにくいのですが、ターゲットピークを選定して精製する機能を使っても、きれいに分離できないことがありました。そんな時にスケーリングカラムのアプリとキャンペーンをご紹介いただき、試してみることにしました。
― それで、結果の方はいかがでしたか?
磯野先生 :
過去に自動メソッド作成機能で上手く分離できなかったサンプルで試してみたところ、簡単にきれいな分離条件メソッドを作成することができました。サンプルはペプチド10残基です。
磯野先生 :
まず、手持ちの液クロにスケーリングカラムを接続して分離条件を探します。その時のクロマトグラムがこちら(右図)です。この時のグラジエント条件をそのままフラッシュ精製で作成すると、同じようなクロマトが得られて不純物ピークを分けて精製することができました。
― フラッシュ精製のクロマトモニターを見せていただきありがとうございます。確かにほとんどLCと同じクロマトで、しっかり目的物のピークが不純物ピークと分かれていますね。ちなみに、自動メソッド作成機能の結果について教えていただいてもよろしいでしょうか。
磯野先生 :
(モニターを見せながら)こちらになります。プレランで小さいスケールで一度分取精製をします。目的物のピークを選んで、プレランの結果から条件を自動作成して本番のスケールで2回目に精製するのですが、目的物ピーク以外の不純物ピークとの距離は考慮されないので、このサンプルでは自動作成で上手く分離できませんでした。
◆溶媒削減の効果が思わぬGoodポイント
― ありがとうございます。弊社のフラッシュカートリッジと合わせて使うことで、メソッド作成の他に何かメリットはありますでしょうか?
磯野先生 :
従来の方法ではプレランで小スケールとはいえ、それなりに溶媒を使うので、スケーリングカラムを使ってLCで条件を作成する方が溶媒の使用量が削減できました。想定外で良かったポイントです。バイオタージのフラッシュカラム自体がもともとサンプルチャージから分取まで1本で完結するので、溶媒削減につながっています。
◆フラッシュカートリッジはチャージしやすいのでお気に入り
― 弊社へコメントや要望などございましたら教えてください。
磯野先生 :
フラッシュカラムについては本当に助かっています。シリンジロードをしているのですが、バイオタージのカラムはサンプルチャージが簡単で、不器用な自分でもきれいにサンプルチャージできます。どれぐらい不器用かというと、インジェクト用カラムにチャージするタイプでは、サンプルをのせる時に飛び散ってしまうレベルです(笑)。サンプルチャージしたカラムの気泡がクロマトのノイズになったり、分離に影響したりするのも気になっていました。その点、御社のカラムは1本で完結するので、気泡のクロマトノイズの心配もなく、安心して使えます。
― そこまで褒めていただきとても光栄です。貴重なご意見、ご感想をありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。
インタビュー実施:2020年10月
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導入製品
フラッシュカラム カートリッジ
Biotage® Scaling Column
URL: https://www.biotage.co.jp/products_top/flash-purification/sfar-c18/
利用機関
岐阜医療科学大学薬学部薬学科室
岐阜医療科学大学は、グローバル化する社会の中で外国人の患者や医療スタッフに対して必要となるコミュニケーション能力や、外国語の文献・資料を読解するための「国際性」、チーム医療の場で他職種連携を円滑に進める「学際性」に加え、建学の精神である「技術者たる前に、よき人間たれ」に基づき「人間性」を育むことを「教育目的」とし、人間性豊かで高度な専門能力を有する医療従事者を育成する。