Streptavidin PhyTip® Columns
Streptavidin ピペット・チップ型 PhyTip® カラム (Biotin-tag タンパク質の精製用)
機能的なタンパク質であるかを評価するため、おおくの研究者は small-scale で発現確認や精製を簡便におこなえる手法を好みます。例えば、興味あるタンパク質に tag を付けて大腸菌、無細胞系や培養細胞に導入し過剰発現させ、ビオチン化タンパク質の抽出と精製をこころみます。
ビオチンはストレプトアビジンに特異的に結合するため、ライフサイエンスにおいて汎用されるアプリケーションのひとつです。この非共有結合を利用したアッセイには、免疫沈降や表面プラズモン共鳴があります。後者は分子間の相互作用を検出し「結合の強さや機能的なタンパク質の複合体であるか」などを評価します。この技術をさらに発展させたBioIDがあります。この技術を利用することで、細胞や生体内において興味あるタンパク質の近傍に局在する endogenous proteins をビオチン化できるようになり、網羅的にタンパク質を解析することが可能になります。昨今では新たな interactome 解析の手法となり、さまざまな場面で活躍しています。
ビオチンを標識するには特定の官能基や残基を標的とする試薬を利用するのが一般的です。また大腸菌の biotin ligase を利用し、それの認識配列を興味あるタンパク質に導入することで、タンパク質1分子に対してビオチン1分子を修飾させることができます。この認識配列を興味あるタンパク質の N または C 末端に置くことで、本来のタンパク質の機能を妨害することなく recombinant proteins として細胞内でつくらせることができます。このテクニックにより、研究者は細胞からの lysate に含まれる数万の endogenous proteins から「tag された」recombinant proteins のみを精製することが可能になります。
Biotin-tag を興味あるタンパク質に付けるメリットを以下に記します…、
1、強力な非共有結合性の相互作用(Kd=10-15M)を示すこと。
2、興味あるタンパク質のフォールディングや生理活性を阻害しにくいこと。
3、極端な pH、有機溶剤や変性剤からの影響を受けにくいこと。
わたしたち Biotage は、独自の技術 Dual Flow Chromatography を備えたピペット・チップ型の PhyTip®カラムに Streptavidin レジンを搭載しました。これにより「吸引・吐出」のサイクル数や flow rate を自由自在にコントロールすることで、ビオチン化タンパク質の精製に適した条件を探ることが容易になります。Streptavidin PhyTip®カラムを利用することで、以下に記す3つのことを容易に実現できるようになります。
① Capture → Wash → Elution の各種ステップの条件検討(最適化の模索)
② 機能的なタンパク質であるかを評価するための少量精製
③ 各社リキッド・ハンドラーに装着することで、タンパク質精製の high-throughput を自動化
ゲルろ過やイオン交換クロマトグラフィーと組みあわせることで work-flow の最適化を図れます。small-scale で多くのサンプルを取りあつかう研究員たちの頼もしい味方となるでしょう。
Streptavidin PhyTip®カラムは効率良くビオチン化タンパク質を精製します
[ サンプル情報 ]
10 µg のビオチン化アルブミンを含む 500 µL のサンプル溶液を Streptavidin PhyTip カラムで精製。
[ バッファー情報 ]
- Equilibration ; PBS
- Wash ; PBS
- Elution ; Phosphate buffer solution (pH2.5)
- Neutralisation ; 1M Tris (pH9.0)
[ His-tagged Fab の精製条件 ]
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- Equilibration ; 平衡化バッファーを用い、Streptavidin PhyTip カラムを平衡化するため「吸引・吐出」サイクルを2回くり返す(flow rate; 500 µL/min)。
- Capture ;サンプル溶液からビオチン化アルブミンを効率良くレジンへ吸着させるため「吸引・吐出」サイクルを4回くり返す(flow rate; 500 µL/min)。
- Wash 1 & 2 (purify) ; 洗浄バッファーを用い、非特異的にレジンへ結合するタンパク質やその他のゴミをとり除くため「吸引・吐出」サイクルを 2回くり返す(flow rate; 500 µL/min)。
- Affinity pull-down ; 2(capture cycle)とは異なるサンプル溶液から興味あるタンパク質をビオチン化アルブミンに効率良く結合させるため「吸引・吐出」サイクルを8回くり返す(flow rate; 500 µL/min)。
- Elution (enrich) ; 溶出バッファーを用い、ビオチン化アルブミンに特異的に結合した興味あるタンパク質を溶出するため「吸引・吐出」サイクルを 4回くり返す(flow rate; 500 µL/min)。
- Neutralisation ; 中和バッファーを精製した溶液の1/4量になるように加え、良く混ぜる。
[ 実験結果の考察 ]
Streptavidin PhyTip カラムを利用することで、80%以上のビオチン化アルブミンを捉えることに成功しました。捕捉したビオチン化タンパク質に特異的に結合するタンパク質を pull-down してくるアプリケーションにも適用できます。
注文情報
200 µL format
PTR-92-05-05 PhyTip® 200 µl format, 5 µl Streptavidin (96/pk), MEA
PTR-92-20-05 PhyTip® 200 µL format, 20 µL Streptavidin (96/pk), MEA
1,000 µL format
PTR-91-10-05 PhyTip® 1 ml format, 10 µl Streptavidin (96/pk), MEA
PTR-91-20-05 PhyTip® 1 mL format, 20 µL Streptavidin (96/pk), MEA
PTR-91-40-05 PhyTip® 1 mL format, 40 µL Streptavidin (96/pk), MEA
PTR-91-80-05 PhyTip® 1 mL format, 80 µL Streptavidin (96/pk), MEA
PTR-91-16-05 PhyTip® 1 mL format, 160 µL Streptavidin (96/pk), MEA