Biotage本社ウェブサイトのブログコーナーに投稿されている記事の中からライフサイエンスに関する内容をピックアップし、ご紹介いたします。
ご興味のあるかたはぜひオリジナルのウェブサイトをご覧ください。
今回ご紹介する内容は「ハイスループットタンパク質精製戦略」です。
High-throughput Protein Purification Strategies
この記事は以下の方に適しています。
- バイオテクノロジー研究者: 抗体やタンパク質などの精製に関心があり、効率的な方法や比較データを探しているかた。
- 創薬研究者: 創薬に関与し、ハイスループットのタンパク質精製技術やその比較データに関心があるかた。
- 実験室技術者: オートメーション技術を使用して抗体、タンパク質の精製を行っていて、新しい技術やツールの導入とその比較データを検討しているかた。
ブログの概要:
- ピペットチップの先端にアフィニティーレジンをパックしたPhyTipと既存の精製手法(マグネットビーズ、スピンカラム、スモールカラム、フィルタープレート)との違いをデータを交えてご紹介します。
- 少量多検体精製すなわちハイスループット精製にPhyTipがなぜ適しているのかご紹介しています。
- PhyTipは既存のハミルトン、テカン、ベックマンなどのリキッドハンドラーに追加ユニット不要で使用可能です。
- 高収率、高濃度で精製ができ、自動化も容易です。
PhyTipカラムの特性: PhyTipカラムは、クロマトグラフィー樹脂が2つの薄いスクリーンの間に詰められたピペットチップで構成されています。デッドボリュームがほとんど無いので、少ない溶出ボリュームで高濃度、高収率で精製が可能です。また、吸引吐出のシンプルな動きなので自動化にも適しています。
図1. PhyTipカラムにおけるデュアルフロークロマトグラフィー (dual flow chromatography) の原理
PhyTipと他の技術(フィルタープレート、ミニカラム、磁気ビーズ、スピンカラム)との比較表です。
表1. 主要な少量精製フォーマットの比較表
PhyTip Columns | Filter plates | Miniaturized Columns | Magnetic beads | Dispersive solid-phase tip purification | Spin columns | |
---|---|---|---|---|---|---|
Speed | ~ 15 min | >60 min | >120 min | >60 min | 10-30 min | >60 min |
Resin scale | 5-160 µL | 6-50 µL | 50-600 µL | ** | 5-100 µL | 5-100 µL |
mAb capacity (estimated)* | ~1.1 mg | ~1.5 mg | ~1.2mg | < 0.05 mg** | ~1.0 mg | ~0.9 mg |
Elution volume* | 120 µL | 3 x 200 µL | 3x50 uL | 100 µL | ~400 µL | 3 x 50 µL |
* Shown for Protein A resins, 50 uL resin - 40 uL resin for the PhyTip format
** Depends on the volume of mag beads used - this example assumes 50 uL beads slurry for 1 mL sample
サンプル濃度のケーススタディ: HISタグ付きサンプル
PhyTipカラム技術の主な利点の一つは、少ない溶出ボリュームです。これは、タンパク質の濃度がそのあとに続く分析の感度と検出限界にとって重要であるため、大きな利点です。PhyTipカラム技術は、スピンカラム技術や磁気ビーズ技術と比較して、少量精製時に収量と濃度において優れていることが示されています。
図2. スピンカラム技術、磁気ビーズ技術、PhyTipカラム技術の濃縮効果の比較
濃度効果の比較: 低濃度抗体の精製例。スピンカラムおよびPhyTipカラムの濃度効果を比較する図が示されています。PhyTipカラムは、非常に少ないレジンで高い回収率と高濃度の精製を可能にします。
図3. スピンカラムとPhyTipカラムの異なる樹脂量を用いた低濃度IgGの精製。
これらのデータに興味を持っていただけましたらぜひ原文をご覧ください。
https://www.biotage.com/blog/high-throughput-protein-purification-strategies