ライフサイエンスに関連するトピックを毎月お届け致します。3回目となる今月は「Lab オートメーション」をテーマに遺伝子治療研究の場で奮闘する「ロボット」Biotage® PhyPrep について紹介したいと思います(図1参照)。煩わしいルーティンから解放されたい「あなた」に 1-15 mg のプラスミド DNA をロボットが自動でお届け致します。
図1の解説;Biotage® PhyPrepの特徴
- マキシ・プレップでは手作業の約 1/3 の時間「50分」でプラスミド DNA 精製を完了
- エンドトキシン・フリーなのですぐにトランスフェクションに利用可能
- 便利なタッチ・パネル式「12 インチ」のディスプレイを搭載
- ガイド機能付きの「ユーザー・フレンドリー」なソフトウェアを搭載
- ロボットによる「オートメーション」なので、高い信頼性と再現性を実現
- 4 サンプルの同時処理
- 人件費削減への寄与
- 煩わしいルーティンからの解放
今月はサンフランシスコの南に拠点を構える遺伝子治療の研究所からのお便りです。ここは以前 Audentes という名で知られていましたが、現在はアステラス製薬の傘下になっていますので、馴染みのある方もいらっしゃると思います。
遺伝子治療の研究チームを率いる Mark Champe は、研究の現場で抱えていた「悩み」をどのように解決したのかを語ってくれました。それは「オートメーション」です。研究員が1日で処理できる数や量のプラスミド DNA は限られていました。彼のチームでは、異なる複数のグループから莫大な数のプラスミド DNA 精製の要求があります。そえゆえに、チームのメンバーは継続的にリクエストに応えていく必要があります。このルーティンは、ご存知のように研究員の貴重な時間をコンスタントに奪っていきます。
Mark Champe のチームでは AAV(アデノ随伴ウィルス)ベクターを遺伝子治療のために調整しています。興味ある遺伝子配列をウィルス・ゲノムをふくむプラスミド DNA に挿入し、これを別のグループにわたし、そのほかのプラスミド DNA と合わせ合計3つを細胞へトランスフェクションします。
遺伝子治療の候補を絞りこんでいくため、およそ10 mg(ギガ・スケール)の大容量の AAV プラスミド DNA を調整する必要があります。ご存知のようにプラスミド DNA の精製は AAV を利用した遺伝子治療のなかでもコストのかかる材料のうちのひとつです。なぜならば毎回、細胞に3つのプラスミド DNA を同時にトランスフェクションする必要があるからです。「トランスフェクションのたびに 10 mgのプラスミド DNA の精製をマニュアルでおこなうのは、とても大変。」と Mark Champe は語ります。
そこで研究チームは、マキシからギガ・スケールのプラスミド DNA を自動で精製する Biotage® PhyPrep の導入に踏みきりました。このロボットを利用すれば、マニュアルでのプラスミド DNA 精製を避けることができます。研究員は、このルーティン作業から解放されるだけでなく、その空いた時間を有効活用することができ 1-2 時間後には精製されたプラスミドDNA を手に入れることができます(図2参照)。「マニュアル・キットでこのルーティン作業をおこなっているとカラムにバッファーを満たすため、何度も戻る必要があり、その他の重要な実験の足枷になっていた。PhyPrep®導入後は、1日におこなうギガ・プレップの回数が2回から 8 回に増え、生産性が向上し遺伝子治療の候補をいち早く開発パイプラインに載せられるようワーク・フローが改善した。」と Mark Champe は語ります。
図2の解説;ロボットによる「オートメーション」なので、高い信頼性と再現性を実現
手作業は大腸菌のサンプル調製(アルカリ変性法)とデッキにカラムやチップを置くだけの「8 分」です。ボタンを押せば、あとはロボットが自動でプラスミド DNA 精製をおこないます。
AAV を利用し新たな遺伝子治療薬を開発するため、莫大な数の AAVを 候補として研究員は調べる必要があります。特に下記の 2 つが大事になります…、
1、プラスミド DNA の精製 → トランスフェクション → AAV 粒子の産生
2、AAV の精製 → クオリティ評価 → 動物や人体への投与
これらを「ひとつずつ」マニュアルで検証していくと莫大な労力、時間や資金を要します。
それゆえに「同じ条件」で「再現性高く」これらのステップをおこなうには、オートメーションが求められてくるでしょう。
このような要求に応えられるよう、わたしたち Biotage®はオートメーションに適した製品を提供しています。