NL8 INI Tech Tips_solvent

 

 








 


テクニカルTips


InitiatorテクニカルTips


(反応溶媒選択方法のヒント)


  













マイクロウェーブ合成装置を用いて条件検討を行う際、適切な溶媒をどうのように選択するかが時折話題にあげられます。マイクロウェーブを用いた加熱実験では、対象物質に極性があるかないかでその熱的挙動は全く変わってきます。例えば、極性のある水ですが、不純物を程良く含んだ水道水と不純物を濾過した蒸留水とでは、前者の方が目的温度に早く到達します。これは水道水に含まれるミネラル成分が加熱を支援した結果によるものです。また、BiotageのINITIATORを用いた場合、密閉反応が可能なため溶媒の沸点以上の温度設定ができ、沸点を超えた溶媒がガス化したことにより加圧状態となり、その状態で反応を行うことも可能です。


 















 • 各種溶媒は極性およびイオン特性が多様であるため、マイクロウェーブとの相互作用は非常に異なったものとなります。



• アセトニトリル、DMFおよびアルコールはマイクロウェーブ支援有機合成によく使用されます。


 


• 従来の実験条件下で用いた規定の溶媒がそのまま使用できる場合もあります。まず、通常使用する溶媒を使用して下さい。


• 極性溶媒(例えば、DMF、NMP、DMSO、メタノール、エタノールおよび酢酸)は、その極性のためにマイクロウェーブとの相性がよい溶媒です(つまり、これらの溶媒を使うと温度がかなり上昇します)。


 


• 反応混合物中の他の成分がマイクロウェーブエネルギーに反応した場合にのみ(つまり、反応混合物が極性反応物あるいはイオンのいずれかを含んでいる場合)、非極性溶媒(例えばトルエン、ジオキサン、THF)を加熱することができます。極性溶媒が少ない場合は、反応混合物の濃度を上げると改善されます。


• イオン液体は有機合成用の双極性非プロトン溶媒に代わる、リサイクル可能で環境にやさしい新材料として報告されています。イオン液体の誘電性はマイクロウェーブ支援有機合成の溶媒または添加剤として使用するのに非常に適しています。イオン液体はマイクロウェーブ照射を極めて効率的に吸収します。また、蒸気圧が低く、加熱プロセスを促進します。イオン液体は塩であるにもかかわらず、さまざまな有機溶媒に容易に溶解して、低吸収性反応混合物のマイクロウェーブ吸収を増大させるために使用できます。



• 溶媒の挙動は温度が上昇すると変化し、ほとんどの溶媒は極性が弱まります。水は最も面白いケースです。高温では、水中の結合角は広がり、また、誘電特性は有機溶媒のそれに近づきます。250℃の水は室温のアセトニトリルと同様の誘電性を実際に持っています。したがって、有機分子が溶解する高温では水を擬似有機溶媒として使用することができます。これは単に温度のためだけではなく、誘電性が変化するためです。これにより、水中で通常起こらないいくつかの反応が完全に実現できるようになります。



• 低沸点(例えば、メタノール、ジクロロメタンおよびアセトン)の溶媒は容器内の圧力が上がることで到達達温度が低くなります。絶対温度が高いほうが高速反応を行うのに望ましい場合、関連性の強い別の高沸点溶媒を使用することをお勧めします(例:ジクロロメタンの代わりにジクロロエタン)。


















 











 ※上記チャートはこちらからダウンロードできます。是非ご活用下さい


      ・・・    nl8_ini_solvent.pdf(14.6KB)




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