テクニカルTips マイクロウェーブ照射テクニカルTips (冷却しながらMW照射、何が起きている?) |
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“冷却しながら加熱” または “強化型マイクロウェーブ反応” —本当は何が起きている?
「強化型マイクロウェーブ反応」、同時にマイクロウェーブで加熱している間、反応化合物を冷却するとどうなるかというレポートが数多く存在します。これは昨今の有機合成において、反応にマイクロウェーブを使用する機会が増えてきているためです。マイクロウェーブのパワーは直接温度に比例するため、”冷却しながら加熱” する時の温度変化をより正確するための研究が進んでいます。
結果、最初の冷却を開始して間もなく、IRセンサーで計測している外部温度は急激に低下する一方で容器の中のDMFの温度(実温)は低下せず、約 55℃の温度差を計上しました。その後、冷却を停止すると内温と外温はほぼ同じ値を示しました。容器の外壁周辺温度と、反応混合物の内温との差は、反応化合物の組成や濃度によって実質上おおきく左右されますが、IRセンサーで温度制御を行うシステムの場合には、このような結果を生じることが分かりました。
この研究は、”強化型マイクロウェーブ反応” の成功例として以前報告されていたDiels-Alder反応で更に検証されました。すなわち、250W出力一定で冷却しながら マイクロウェーブを照射した際、表示された外温は120℃であり、転換率は75%でした。この際、内温は155℃を表示していたため、次に冷却無しで155℃設定にて反応を実行したところ、ほぼ同等の収率で転換化合物が得られました。 従って、冷却しながらマイクロウェーブを照射した場合、外温と内温とに大きな差が生じ、見かけ上、低温で反応が進行したように、誤った評価に陥る場合があります。
時間(分) 温度設定 MW出力 コンバージョン |
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