極性カラムによるクリーンアップ
極性ISOLUTE SPEカラムを使用して、有機合成の反応溶液を迅速・簡単にクリーンアップできます。このカラムの使用方法は2通りあります。
極性のターゲット化合物をカラム内(充填剤)で保持し、ターゲット化合物より極性の弱い不純物を除去(キャッチ&リリース SPE と同様の手法です)。
極性の不純物をカラム内(充填剤)で保持し、不純物よりも極性の弱いターゲット化合物を通過させる(スカベンジング SPE と同様の手法です)。
この方法では、使用する充填剤と溶媒の特性に加えて、ターゲット化合物と不純物との極性の違いを考慮することが重要です。使用できる極性の ISOLUTE SPE カラムは3種類あります。
極性ISOLUTE SPEカラムの選択ガイド
ISOLUTE AL-N
両極性で酸、塩基ともに反応する酸化アルミニウム(中性アルミナ)を充填したカラムです。シリカゲルとは異なり、中性のアルミナはアセタールやケタールなどのような酸感受性官能基を持つ化合物に使用することができます。
ISOLUTE FL
酸化マグネシウムシリカゲル(Florisil)を充填したカラムです。極性保持機構で化合物を保持します。このカラムはアミンやアミド、複素環化合物などの極性の高い化合物の精製に有用です。これらの化合物はISOLUTE FLとの保持が比較的弱いため、低極性溶媒で溶出することができます。使用する溶媒については下の表を参照してください。Florisilは、モノエチルマロン酸の2価陰イオンと酸塩化物から生成されるβ-ケトエステル類の処理に使用できます。また、1,2 diarylbenzimidazoleライブラリのクリーンアップにも使用できます。
ISOLUTE Flash Si II
反応溶液からの高極性不純物を除去するのに最適です。反応溶液をカラムに注入すると、極性不純物がカラムに保持されます。ターゲット化合物も最初はカラムに保持されますが、適切な極性の溶媒(下表参照)で溶出されます。
表:極性ISOLUTE SPEカラムの使用方法
キャッチ&リリースSPE | スカベンジングSPE | |
---|---|---|
反応溶液(サンプル)の事前調整 | 非極性溶媒 例) ヘキサン |
中等度の極性でターゲットが溶解する溶媒 例) THF |
カラムの溶媒和 | ターゲット化合物の保持が可能な非極性溶媒
例) ヘキサン |
中等度の極性でターゲットが溶解する溶媒 例) THF |
カラムの平衡化 | ― | ― |
サンプル注入 | 重力下またはバキューム | 重力下またはバキューム
(カラムを通過したサンプルを回収する―ターゲット化合物が含まれている) |
カラムの洗浄(不純物溶出) | 極性溶媒を含む非極性溶媒
(ターゲット化合物がカラムに残るようにする) 例) DCM+ヘキサン |
― |
ターゲット化合物の溶出 | 極性相互作用を打ち消す極性溶媒(または極性の混合溶媒)
例) DCM |
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