キャッチ&リリース SPE のガイドライン
一般的なキャッチ&リリース SPE 法は次の手順で行います。
- 反応溶液(サンプル)の事前調製
- カラムの溶媒和
- カラムの平衡化
- サンプルの注入
- カラムの洗浄(不純物の溶出)
- ターゲット化合物の溶出
1. 反応溶液(サンプル)の事前調製
キャッチ&リリースSPEにおけるサンプルの事前調整では、選択したSPEカラムに目的物質が保持される環境を整えることが目的となります。サンプルの事前調製にはサンプルの粘性や溶媒極性、イオン強度を下げるための希釈操作が含まれます。
サンプルの極性を低減させるために、より低極性の溶媒で希釈します(ターゲット化合物が沈殿しないよう注意してください)。あるいは、サンプルを蒸発させ、残留物を適切な溶媒に再溶解して溶媒を交換する方法もあります。
2. カラムの溶媒和
カラムの溶媒和はSPEカラムの充填剤とターゲット化合物を、効果的に相互作用させるために必要です。カラムにメタノールやアセトニトリル、もしくは他の有機溶媒を通液し、充填剤を濡らすことにより、ターゲット化合物と充填剤の適切な相互作用が可能になります。溶媒和における一般的な溶媒量は、充填剤1gあたり5~10mLです。
3. カラムの平衡化
カラムの平衡化は、溶媒和の後の「ノーマライズ」のステップで、サンプル注入の際の保持効率を最大にします。カラムの平衡化はサンプル溶液に似た溶媒によって行われます。サンプルが有機溶媒または有機混合液の場合、カラムの平衡化にはサンプルと同じ溶媒を使用します。サンプルの事前調整で低極性溶媒による希釈を行っている場合にも、平衡化はサンプルと同じ溶媒で行います。平衡化に使用する溶媒量は充填剤1gあたり10mLです。
4. サンプルの注入
平衡化したカラムにサンプル溶液を注入します。最適な流速で通液することが重要です。下の表を参考に、最適な流速を検討してください。
カラムサイズ | 非極性保持 | 極性保持 | イオン交換保持 |
---|---|---|---|
3 mL | 2 mL/min | 2 mL/min | 1 mL/min |
6 mL | 4 mL/min | 4 mL/min | 2 mL/min |
15 mL | 6 mL/min | 6 mL/min | 3 mL/min |
25 mL | 10 mL/min | 10 mL/min | 4 mL/min |
70 mL | 30 mL/min | 30 mL/min | 7 mL/min |
150mL | 50 mL/min | 50 mL/min | 15 mL/min |
表:ISOLUTE SPEカラム使用時の推奨流速
5. カラムの洗浄(不純物の除去)
不純物の除去を行うため、1回~数回の洗浄操作を行います。洗浄ステップでは、充填剤からターゲット化合物を溶出しない溶媒を用います。適切な流速によって溶媒と不純物に十分な接触時間を与えることで、高い効率での不純物除去が可能になります。流速については上表を参考にしてください。
6. ターゲット化合物の溶出
ターゲット化合物が溶出しやすい溶媒を用います。ターゲット化合物回収後の濃縮操作なども考慮し、適切な溶出用溶媒を選択してください。典型的な最小の溶出溶媒量は、充填剤1gあたり2.5mLです。溶出ステップにおける流速についても、上表を参考にしてください。