選択性の最適化
フラッシュ精製を成功させるためにはまず、CV を最大化させることが大切です。
TLC において様々な混合溶媒を評価する事で、CV を最大化できます。
目的の化合物とその他の不純物との間に高い CV を形成できるような混合条件を探します。
全ての溶媒は、同じサンプル溶液中の各物質にそれぞれ異なった影響を与えます。表3に最も頻繁に使用される溶媒とそれらの選択性を示します。
もし可能であれば、酢酸エチル(Via)、ジクロロメタン(V)、トルエン(VII)、THF(III)を含むヘキサンの混合物、もしくはヘキサン単体(I)を用いる事によって選択性の最適化が可能となります。
これらの溶媒の組み合わせは広い範囲での分離選択性を可能にし、サンプル精製時における適切な溶媒の選択を行う際にも役立ちます(図2参照)。
クロマトグラフィーにおける溶媒の選択性について詳細は
『L. R. SnyderとJ. J. Kirklandの“Introduction to Modern Liquid Chromatography(Wiley: New York, 1979)”』
を参照してください。
表3. 溶媒選択性Chart1
溶媒選択性グループ | |
---|---|
溶媒 | 選択性グループ |
Ether | I |
Methanol | II |
Ethanol | II |
Isopropanol | II |
Tetrahydrofuran | III |
Dichloromethane | V |
Acetone | VIa |
Ethyl acetate | VIa |
Acetonitrile | VIb |
Toluene | VII |
Chloroform | VIII |
Hexane | —– |
Heptane | —– |
Iso-octane | —– |
図2:
クロマトグラフィーによるサンプルの分離における溶媒選択性の影響を示します。
ヘキサン/酢酸エチル溶媒の場合、目的の化合物であるBは、主要な不純物であるAとCからきれいに分画されていません。
ジクロロメタン溶媒だと、不純物AとCの溶媒保持力が劇的に変化し、Bからの分画が向上しています。