マイクロウェーブの効果
マイクロウェーブとは何か
マイクロウェーブとは周波数0.3-300GHzの電磁放射線の集合体です。ほとんどが0.9と1.8GHzの周波数でレーダーや通信機器、e.g.デュアル携帯電話などに使われています。他の機能への干渉を防ぐため加熱用途では波長が12.2cm、2.45GHzで使用すると決められています。
加熱メカニズム
マイクロウェーブのエネルギーはマイクロウェーブラジエーションのビームラインによって物質に変換されます。エネルギーは双極分子が放射線の波動電界構成要素と共に直列しようとする時または、 イオンが同一事象において動き回っているときに発生します。
2つの主な加熱メソッドがあります。
- 双極子分極
- イオン伝導
双極子分極
2つのチューブ入っている水とジオキサンを適当なラジエーションと時間で加熱すると水だけ加熱した場合よりも最終的な温度は高くなります。
これは双極子分極と呼ばれるメカニズムによるものです。物質は双極モーメントを有していて、マイクロウェーブを放射されると熱を発生します。双極子は外部電界に非常に敏感に反応し、回転して電界内で直列しようとします。マイクロウェーブラジエーションの電磁波は小さいので、双極子は交流電界に反応し回転します。
しかしながらこの電磁波は電界すべてを回転するほど大きくはありません。そのため双極子は電界に直列するように適応し、電界は変化し、双極子と電界の間に異なる位相を発生させます。この事によって、分子摩擦と衝突が増加し、誘電加熱が上昇します。
ジオキサンはマイクロウェーブ誘電加熱に必要な双極性を有していないため、すぐに加熱する大きな双極子モーメントを持っている水を加熱しません。
イオン伝導
蒸留水と水道水の入った2つのサンプルが入ったチューブを加熱すると、水道水の入ったチューブの方が最終的な温度は高くなります。
これは伝導メカニズムによるものです。物質はイオンまたは少なくともひとつの酸素結合クラスターを持った単離イオンを持っており、電界の影響下でサンプルは溶液中を動く事で衝突頻度が上がります。
伝導メカニズムは双極子メカニズムよりも溶質の熱発生キャパシティーへの作用が大きくなります。
ロスタンジェント
マイクロウェーブ放射線のエネルギー量子は、原子と原子の繋がりやある特定の励起分子に直接作用するには不適切です。分子がマトリックスの中で回転や動き回わると、摩擦によって熱が発生してしまいます。反応化合物の誘電性、体積、幾何、濃度、粘性、温度などの複雑な作用によって、熱が発生します。しかし、2つのサンプルは同じレベルで同じ時間放射され、同じ温度になるように思われます。
本質的にマイクロウェーブフィールドによる物質の加熱は2つの要素によって成立しています。
(1)物質がその誘電性によってマイクロウェーブエネルギーを吸着する働き。と、
(2)エネルギーがロスファクターによって熱を発生するという働き。です。
マイクロウェーブエネルギーを熱に変換するために、2つの似通った物質を判別するのに簡単な方法は、それらの物質の”ロスタンジェント”を比較する方法で、ロスタンジェントはロスファクターと誘電性の割合のタンジェントのことです。(Eqn 1).
より深いマイクロウェーブ誘電加熱のメカニズムの知識が必要ならば、Mingos et al. [Chem. Soc. Rev. 1998, 27, 213] の著書がお勧めです
反応促進
MAOS技術を使った化学反応が早いのは、従来の方法よりも高い温度で反応が行われているからです。反応レートとその温度の関係は下の公式によって決められています。
Arrhenius Equation: K=Ae-ΔG/RT
kがレート係数、Aが定数、Eaが活動エネルギー、Rが気体定数(8.314 x 10-3 kJ mol-1K-1 )、そしてTが温度(ケルビン単位)
一般的な和の公式により、10℃反応温度が上昇する毎に反応レートは2倍になっています。高い温度では2つの分子の衝突はより盛んになります。この高い衝突レートにより、より高い反応の活動エネルギーの結果である運動エネルギーが得られます。
ある条件においては、マイクロウェーブ加熱の早いレートによって、従来の加熱技術では簡単には得ることができなかった、熱プロフィルが発生します。その様な実験ケースにおいては、MAOSを使うことによって、最終的な温度が同じであっても、従来の加熱反応とは違った結果が得られます。
MAOSによって大部分のレートの促進が可能になり、マイクロウェーブラジエーションは温度プロフィルが独立していても、 MAOSの温度効果によって素晴らしい結果が得られます。しかし、ある特定のマイクロウェーブ効果の存在は完全に無視することはできません、それらの効果は稀ではありますが重要です。