従来法による加熱と電磁場による加熱の比較
多くの有機合成反応はオイルバス・サンドバス・保温庫のような熱転写機器を用いての加熱を必要としていました。これらの手法による熱伝導は遅く、またサンプル間で熱勾配を発生させてしまいます。その上、反応容器の表面が加熱されるためサンプルに対して局地的な過熱を引き起こし、反応が長引くことでサンプル中の基質や溶液の分解を起こしてしまいます。
対照的に、マイクロウェーブ誘電加熱の熱エネルギーは反応容器に間接的に作用し、反応溶液と熱源とが接触することがありません。マイクロウェーブ照射は反応容器の壁面を通過し、電磁放射線に熱返還し内容物を直接加熱します。この方式は溶液中の液体や固体の反応能力を高めるのに有利です。
最適にデザインされた反応容器自体はマイクロウェーブでは加熱されず、マイクロウェーブのエネルギーは直接反応溶液に送られます。
その結果、溶液の温度は即時に適切な温度まで上昇するため、副生成物や分解生成物の量を押さえ、収率向上が望めます。さらに、サンプル容器と熱源との直接的な接触が減ることで、熱源の補正を待つことなく、反応の最適化、効率化が可能です。