SPE充填剤 / メカニズムの選択

幅広い化学的物質をもった充填剤のSPEカラムが用意されています。各々が様々な分子相互作用によるターゲット化合物保持のための特異な性質を示します(保持メカニズムと呼ばれています)。

SPEで最も一般的な保持メカニズムは、次の通りです。

  • 非極性 (ファンデルワールズ力に基づく)
  • 極性 (水素結合、双極子間相互作用またはπ‐π相互作用に基づく)
  • イオン交換 (陽イオン[正電荷種]と陰イオン[負電荷種]の間の相互作用)
  • ミックスモード (非極性とイオン交換相互作用の組み合わせ)

SPE充填剤は保持メカニズム別に分類されています。いずれの充填剤もこれらの特性のユニークな組み合わせを提供し、様々な特有の抽出上の問題への対処を可能にしています。

選択性

非常に広範囲にわたる充填剤の化学的性質がSPEの最もパワフルな側面のひとつである高い選択性をもたらしています。選択性とは、ある抽出技術がオリジナルサンプル中の干渉成分から対象となるターゲット化合物を分離できる度合いです。SPEの高い選択性特性は2つの要因によるものです。

1つ目の要因は、それぞれの抽出充填剤の化学的性質がユニークで独特の保持性質であり、ターゲット化合物の広範囲にわたる特性に対応していることです。

2つ目の要因は、液液抽出と比較してみると最もわかりやすいと言えます。液液抽出では、2つの液体(相)がお互いに混じり合わないものでなければなりません。メタノールで水性サンプルが抽出できないことからも明らかです。しかしながら、SPEでは1つの相が固形の支持体あるいは充填剤なので、使用するどんな溶媒とも当然混ざりません。そのため、非常に多様な充填剤/溶媒の組み合わせが可能で、極めて選択的な抽出ができる潜在性を持っているのです。

容量

充填剤の容量は、最適条件下で与えられた充填剤の量により保持されることのできるターゲット化合物を強く保持できる全質量とされます。抽出に必要な充填剤の量を決定する際に、ターゲット化合物の容量条件を考慮するだけでなく、同じ保持メカニズムを使用することによりターゲット化合物と一緒に抽出されてしまう可能性がある望まれないサンプル成分(干渉成分)についても考慮することが重要となります。より選択性の高い保持メカニズムを選択することにより、SPEベッドの相対容量が増加し、実行する抽出に必要な充填剤の量を実質的に減らすことになります。このことは使用する溶媒の量を減らし、そして抽出物中のターゲット化合物の最終的な濃度を増加させるというメリットがあります。選んだ充填剤がターゲット化合物に存在する官能基と作用するが、サンプル中のその他の成分と作用しない時に最大の選択性(すなわち容量)が達成されることになります。

一般的に、非極性および極性SPE充填剤は、充填剤の1~5%にあたる容量を持っています(すなわち、100mgの充填剤は、最適条件下において最大で5mgの強く保持されたターゲット化合物を保持することが可能となります)。

イオン交換充填剤の容量は充填剤上の利用可能なイオン基の数に基づいた、充填剤1g当りに含まれるミリグラム当量数(meq/g)で測定されます。例えば、ISOLUTE SAXは0.6meq/gの交換容量を持ちます。これは、1g ISOLUTE SAXカラムが陰イオン性(酸性)化合物を最大0.6mmolを保持できることを意味します。