メソッド最適化プロセス

SPEの最適化手順は次の通りです。

最初はクリーンなマトリックスからターゲット化合物を抽出するメソッドを検討し、その後、実際のサンプルマトリックスで評価します。

1. 望ましい保持メカニズムを選択する

  • 非極性
  • 極性
  • イオン交換
  • ミックスモード

2. 充填剤を選択する

選択した保持メカニズムによって、サンプルタイプと似た「クリーン」なマトリックスから標準物質を保持できる充填剤を選択して評価します。例えば、水性生体液から薬物を抽出するためのアッセイを開発するのであれば、水性バッファーからの標準物質の保持をまず評価します。

3. 標準物質の溶出のための溶出溶媒を検討する

クリーンなマトリックスから最も効率良く標準物質を回収する溶出溶媒を特定します。通常、完全な回収はベッド容積の2-10倍量の溶媒*を使って達成されます。ここで、より多くの溶出溶媒が必要とされる場合には、保持力が低い充填剤、または別の溶出溶媒が必要になる可能性があります。

* ベッド容積は充填剤100mgあたり約120μL

4. 実際のサンプルマトリックスで評価する

ステップ1~3で確立した手順を実際のサンプルマトリックスで評価します。例えば、生体液マトリックスのためのアッセイを開発する場合、ターゲット化合物を添加したブランク生体液で評価します。

5. 干渉成分溶出(洗浄)溶媒を検討する

ターゲット化合物をロスせず、できるだけクリーンな抽出物を得るため、干渉成分の溶出溶媒を最適化します。

6. 流速の最適化を行う

生産性を最大にするため、各ステップの流速を最適化します。

7. 充填剤量を最適化する

特に、少量の生体液サンプルを処理する際に、充填剤量の最適化が重要な場合があります。ターゲット化合物をロスすることなく充填剤量を減らすことができれば、溶媒使用量の削減というメリットにもつながります。

8. 最終的なメソッドバリテーション

低回収率への対処法

このクイックスタートガイドではSPEメソッド開発の概要を説明しています。しかし、ガイドに基づいて確立したメソッドの回収率が低い、あるいは回収率が不安定などの問題がある場合には、以下の方法で問題を特定し、対応を検討します。

SPEでターゲット化合物の回収率が低下する主な理由は次の通りです:

  • ターゲット化合物の保持の悪さ
  • ターゲット化合物の溶出の悪さ

次の方法のいずれかで不十分な保持の原因を特定してください。

不十分な保持を特定する方法:

a) あらかじめ溶媒和と平衡化したカラムをアダプターで連結し、サンプルをロードします。次に、カラムを分けて、ターゲット化合物を下のカラムから溶出します。

b) または、サンプルロードのステップでSPEカラムから滴下する液を回収し、既知の方法(液液抽出など)により再抽出を行います。

ターゲット化合物が、2番目のSPEカラム(a)上、あるいは液液抽出溶媒(b)に存在する場合、ターゲット化合物はSPEカラム上で十分に保持されていないことになります。

不十分な溶出を特定する方法:

a) 最初に、充填剤ベッド容量の10倍量の溶出溶媒を用いてターゲット化合物を溶出し、さらにもう一度、ベッド容量の10倍量の溶出溶媒によって抽出を繰り返します。
2回目の回収溶液多量のターゲット化合物が含まれていた場合には、カラムからのターゲット化合物抽出が不十分ということを意味します。

SPEメソッド開発やトラブルシューティングに関するお問い合わせはバイオタージ・ジャパンまでご連絡ください。