テクニカルノート

ISOLUTE Si-Thiol

 

(求電子試薬・金属スカベンジシリカゲル)

  


 

【ケミカルデータ】

化学名:            3-メルカプトプロピルシリカゲル

タイプ:      シリカゲル
キャパシティ:  1.3 mmol / g
粒径:       63ミクロン

外観:      易流動性の灰白色の粉末
用途:       アルキルハライド、ベンジルハライド、クロライド、イソシアネートの除去

          Pd、Pt、Cu、Hg、Ag、Pbなどの金属除去
一般条件:        反応混合物に対し4-6当量添加し、15分~2時間攪拌後濾過する。
相溶性溶媒:  DCM、MeOH、EtOH、THF

保存:      低温(4℃)の乾燥した場所

 

ISOLUTE Si-Thiol は 1-プロパンチオールのシリカゲル担持等価体で、酸クロリドやイソシネートを含む他の様々な求電子試薬と同様に、アルキルハライド、ベンジルハライド、アリルハライドの共有結合除去に便利に利用できます。更に、有機合成に利用されるPd, Pt, Cu, Ag, Pd のような一連の金属種の除去にも利用可能です。

 

【応用例】

求電子試薬の除去

ISOLUTE Si-Thiol (0.63 mmoml、0.5 g)を、ナフタレン(内部標準)および塩基としてジイソプロピルエチルアミン(2.0当量)存在下、ブロモアセトフェノン 1-3 (0.12 mmol)のTHF(1 ml)溶液に加えられた。

混合溶液を5分間攪拌し、濾過後、8 ml の DCM/MeOH (1:1)溶液で洗浄した。濃縮した濾液をHPLCで分析したところ、5分以内で 98 % 除去可能であることがが確認できた。

        図.1 Si-Thiol を添加前(A)と添加後(B)のHPLC比較。

 

この手法は、THF 中過剰な 2-ブロモアセトフェノン 1-3 を用いた環式二級アミン 4-6 のアルキル化による三級アミンの調製に適用できます。(反応式.1)

 

 

 

 

                 反応式.1  2-ブロモアセトフェノンを用いた環式二級アミンのアルキル化に続き、ISOLUTE Si-Thiolを用いた素早い精製

 

1,2,3,4-tetrahydroisoquinoline (14 mg, 0.1 mmol)THF溶液(1ml)に diisopropylethylamine (55 µL, 0.3 mmol) に続き 2-bromo-4-methoxyacetophenone (46 mg, 0.2 mmol)を加えた。反応混合物を15分攪拌後、ISOLUTE Si-Thiol (0.63 mmol, 0.5 g) を添加し、更に15分攪拌した。その後、反応混合物を濾過し、1:1 DCM/MeOH 溶液(8 ml)で洗浄した。濾液を減圧濃縮し、純度97%収率99%で目的の化合物を得た。(反応式.1

 


【参考文献】
1. Crudden, C. M.; Sateesh, M.; Lewis, R.; J. Am. Chem. Soc. 2005, 127(28),  

    10045-10050