【ケミカルデータ】
化学名
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マクロ多孔質のポリスチレンスルホン酸(0.5%無機帯電防止剤)
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用途
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アミンの除去およびキャッチ&リリース、酸触媒
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反応条件
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アミンに対してレジン約2~3当量、0.5~1時間、20℃ |
タイプ
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マクロ多孔質poly(styrene-co-divinylbenzene) |
容量
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標準容量4.0mmol/g、最小容量3.7mmol/g (ベンジルアミンの吸収に基づく)
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サイズ
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375-575ミクロン、25-40メッシュ(平均値) |
使用溶媒
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DCM(3.0 mL/g、THF(3.1 mL/g)、DMF(3.1 mL/g)、MeOH(3.05 mL/g)
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MP-TsOHレジンは、p-トルエンスルホン酸(TsOH)のレジン担持等価体であるスルホン化されたマクロ多孔質のポリスチレンレジンです。レジンは、強陽イオン交換レジンAmberlyst A-15(Rohm and Haas)の等価体として使用できます1-4)。MP-TsOHは、低分子合成用の担持型試薬またはスカベンジャーレジンとして使用するために最適化されています。MP-TsOHにおけるスルホン酸基は、第四級塩形成により、塩基性化合物(例 第一級、第二級、第三級アミン)の除去に利用しやすくなっています。さらに、MP-TsOHは、より高ロードのスルホン酸レジンでみられるスチレンレジン骨格の過酸化から生じる浸出性の暗色の不純物を含みません5)。
代表的アミン除去例(バッチ方式)を時間の関数として表.1に示します。MP-TsOHは、水性または溶解性の有機酸によるクエンチ反応の代替法として有用です。シリカ由来SCXカラムと同様にアミン誘導体のキャッチ&リリースを実行するために、MP-TsOHもカートリッジ用途で使用されることもあります6-8)。MP-TsOHにより、シリカ由来SCXカラムで時々生じる微粒子によりアミン生成物が汚染されることがなくなります。代表的なアミン除去例(カートリッジ方式)を、時間の関数として表.2に示します。
表.1 MP-TsOHによるアミン除去(バッチ方式)
アミン
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MP-TsOH(当量)
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除去率 (%)
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20分
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1時間
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プロピルアミン |
3
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100
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100
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3-(モルホリノ)プロピルアミン |
3
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100
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100
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アニリン |
3
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100
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100
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ニトロアニリン |
3
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75
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96
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2-アミノチアゾール |
3
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100
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100
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表.2 MP-TsOHによるアミン除去(カートリッジ方式)
アミン
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MP-TsOH(当量)
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除去率 (%)
(5分)
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プロピルアミン |
5
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100
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3-(モルホリノ)プロピルアミン |
5
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100
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アニリン |
5
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100
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2-アミノチアゾール |
5
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98
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MP-TsOHカラムを用いたアミンのキャッチ&リリース精製は、N-メチルモルホリン、アニリン、アミノチアゾールおよびニトロアニリン等の幅広い塩基性のアミンを保存するのに有効であることが分かりました。DCMが溶媒として使用した場合はニトロアニリンのような弱塩基性アミンの完全な保持が達成されましたが、THFやDMFでは保持効率はそれよりも低くなりました。これらの溶媒における弱塩基性アミンには、3当量を超えるレジンの使用が推奨されます。
【一般的な実験手順】
● キャッチ&リリース
アミン溶液をMP-TsOH(アミンに対して3当量)で30分間インキュベートします。その後レジンを濾過し、続いてDCMで洗浄して非塩基性の不純物を除去します。メタノール中の2Mのアンモニアでレジンを処理すると、遊離塩基としてアミンがリリースされます。同じキャッチ&リリース実験はMP-TsOHカートリッジを使用しても行なうことができます9)。
本手順は還元アミノ化によって合成されたアミンの精製に使用することができます10)。
【参考文献】
- Flynn, D. L.; Crich, J. Z.; Devraj, R.V.; Hockerman, S. L.; Parlow, J. J.; South, M.S.; Woodard, S. S. J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 4874.
- Gayo, L. M.; Suto, M. J. Tetrahedron Lett. 1997, 38, 513.
- Parlow, J.J.; Flynn, D.L.; Tetrahedron 1998, 54, 4013.
- Suto, M. J.; Gayo-Fung, L. M.; palanki, M. S. S.; Sullivan, R. Tetrahedron 1998, 54, 4141.
- Stahlbush, J.R.; Strom, R.M.;Byers, R.G.; Henry, J.B.; Skelly, N.E.Prediction and Identification of Leachables from Cation Exchange Resins, Presented at the 48th Annual Meeting International Water Conference, Pittsburgh, PA Nov. 1987,IWC-87-10.
- Siegel, M.G.; Hahn, P.J.; Dressman, B.A.; Fritz, J.E.; Grunwell, J. R.; Kaldor, S.W. Tetrahedron Lett. 1997, 38, 3357.
- Shuker, A. J.; Siegel, M. G.; Matthews, D. P.; Weigel, L. O. Tetrahedron Lett. 1997, 38, 6149.
- Lawrence, M. R.; Biller, S.A.; Fryszman, O. M.; Poss, M.A.; Synthesis 1997, 553.
- Part Number 800477-0050-C.
- Reductive amination reactions are described in the MP-Cyanoborohydride and MP-Tricetoxyborohydride sections. (pages 25 and 62, respectively)
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