Q1.化合物の構造が分からなくても不純物除去はできますか? A1. 可能です。ポジション(elution time)を特定できる分析手法(例:LC-UV, LC-MSなど)さえあれば、MIPが目的の不純物を除去したかどうかモニターできます。
Q2. 極性の高い有機溶媒でのスクリーニングは可能でしょうか?(水系溶媒に難溶性の化合物の場合) A2. アセトニトリルを使用したスクリーニングでは多くの実績がありますが、DMFやDMSOでは経験がありません。プレコンディショニングを適切に行えばDMFやDMSOでも可能と思われますが、何度か実験を繰り返しての条件検討が必要になるでしょう。バイオタージのアナリティカル・ケミストがオンサイトで行うExploraSepトレーニングにて、ケース・バイ・ケースの対応が可能と思います。
Q3. バッチ処理でのローディングサンプルの適正濃度は? (ExploraSepスクリーニングではなく実際に使用の場合について) A3. お使いになるMIPレジンのキャパシティに依存します。一般に、MIPレジンのキャパシティは50μmol/g程度ですので、ローディングサンプルの適正濃度も算出可能です。また、通常は使用するMIPについてブレークスルー(破過)を確認するまでローディング濃度の検討を行い、特定の条件下での実測キャパシティを確認します。
Q4. MIPは1つターゲット化合物に対してのみ相互作用するのでしょうか(MIPに結合する化合物は限定された1種類のみですか)? A4. いいえ、MIPは「クラス選択性」を持っています。簡略化してご説明します。”Molecular imprinting”はテンプレートに使用した化合物の”イメージ”を作りますが、完璧な”型”ではありません。なぜなら、MIPと化合物の結合が非共有結合であることに加えて、テンプレートに使用する化合物はポリマー重合の過程で部分的に壊れることもあるからです。MIPはテンプレート化合物に対して選択性を示すと同時に、似たような化合物も結合します。我々は、このコンセプトを”selectophore”と表現しています。”selectophore”にフィットする化合物はMIPに結合し得るのです。
Q5. Good Hitはどのように判定するのでしょうか?
A5. 判断基準は2つあります。
サンプルのローディングステップから洗浄ステップ(洗浄にはローディング溶媒と同じ溶媒を使用)まで、添加したターゲット化合物(不純物)の80%以上を保持するMIPを選択します。強いヒットが得られなかった場合には、80%未満の保持でもweak hitとして検討を継続する場合もあります。ローディング溶媒は、ターゲット化合物(不純物)の構造により期待されるMIPとの相互作用(水素結合、疎水性結合etc.)を考慮して選択します。
ExploraSepプレートに隣接して並ぶMIPとNIP(non-imprinted polymer)の違いも考慮します。1)の選択基準に比べると、それほど重要な基準ではありませんが、molecular imprintingが効果的に作用しているかどうかを見ることができます。時には、一般的な固相抽出のように、NIPで十分に不純物除去が可能な場合もあります。
Q6. 遺伝毒性不純物をMIPで保持して除去する方法と、APIをMIPで保持して不純物を洗浄除去する方法では、どちらが良いのでしょうか? A6. 通常はGIの濃度が非常に低いので、PGIをMIPで保持するほうが望ましいです。もしAPIをMIPで保持する場合には、とても高いローディングキャパシティを持つMIPでなければ現実的なコストパフォーマンスでプロセススケールで使用できません。
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