環境中のPFAS分析のサンプル前処理に
窒素吹付高速パラレル濃縮装置
「TurboVap® LV」「TurboVap® II」を活用
ブランクコントロールに影響を与えないTurboVap!
濃縮時間は6分の1に短縮!
ユーロフィン日本環境株式会社

ユーロフィン日本環境株式会社は、環境分析サービスを提供する環境計量証明事業、環境アセスメントを始めと
した環境コンサルティング事業を50年間にわたり行っています。特に環境中のPFAS分析において世界的な実
績があるユーロフィングループのネットワークを活かし、日本国内で初めて「EPAメソッド1633」を導入し国際
的に信頼性のあるISO17025認定を取得されました。この環境中のPFAS分析のサンプル前処理に窒素吹付高速
パラレル濃縮装置「TurboVapⓇ LV」と「TurboVapⓇ II」を導入され、多検体の同時濃縮を実施されています。
PFAS分析のサンプル前処理と「TurboVap」導入の経緯について、ラボラトリー事業部POPsグループPFAS・
PCBチームマネージャーの門田さんにお話しを伺いました。
―まず、貴社の事業や業務内容について教えていただけますか?
門田さん:当社は、グローバル企業であるユーロフィングループに所属するユーロフィン日本環境株式会社という日本法人です。ユーロフィングループは、食品・製品・環境・医薬品等、幅広い分野に関わる分析及び検査サービスをグローバルに展開しています。ユーロフィン日本環境は、2012年にユーロフィングループに参画し、現在、320名ほどの社員がいます。水・土壌・ガスなど環境試料の分析サービスを提供しており、1日に数千項目に及ぶ分析を行っています。
―ご自身のお仕事をお聞かせいただけますか?
門田さん:環境中のPFAS(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称)分析担当として、水・土壌・排ガス・廃棄物中のPFASの分析を行っています。チームには8名の担当者がいて、品質を一定に保つためSOP(標準操作手順書)に従ってそれぞれが作業を行っています。
◆PFAS分析の先駆者
国内初!EPAメソッド1633にてISO17025認定取得
―最近一般的なニュースでも取り上げられることが多くなったPFASの分析をご担当されているのですね。
貴社ではかなりPFASの分析に力を入れているように感じますが、いかがでしょうか?
門田さん:当社は、国内はもちろんですが、世界の情勢やグループ会社からの情報を参考に、日本国内で初めてアメリカ環境保護庁のEPAが定める公式メソッド「EPA メソッド 1633」を導入し、ISO17025認定を取得しました。また、情報発信にも力を入れていて、ホームページ上の資料の充実、メールマガジンも多く出しています。
―私も貴社のホームページからPFASに関する資料を入手して勉強させていただいています。
◆PFAS分析においてはブランクコントロールが重要
―今回のTurboVapの導入は実験室増設に伴う装置の増設と伺っていますが、PFASの分析の検体数が増えているのでしょうか。
門田さん:そうですね。検体数が増えてきていますので、取り扱うサンプルに含まれるPFASの濃度に応じて実験室を区別しています。また、試験室の作業動線なども効率的になるように工夫をしています。
―PFASの分析前処理で気を付けていることはありますか?
門田さん:PFASの分析で一番気を付けていることはブランクコントロールです。
PFOSやPFOAだけを分析する場合はそれほど問題にはならないのですが、海外の規制であるEPAメソッドでは40種に及ぶPFASが分析対象となっており、コーティング剤や実験で使用する手袋や器具にも含まれている場合があるため、迂闊に実験をしているとすぐにブランクが出てきてしまいます。
―弊社では、PFASの分析前処理にTurboVapを用いた場合のバックグラウンドを確認したアプリケーションノートをご用意しています。
門田さん:はい、そのアプリケーションノートの存在も、TurboVap導入の決め手の一つとなりました。
◆濃縮作業の効率化と容器への対応が課題
―TurboVap導入前に採用されていた濃縮装置、濃縮方法についてお聞かせください。
門田さん:これまではブロックヒーター式の窒素吹付濃縮装置を使用していました。
黒いブロックヒーターの中に試験管を挿入するため、外から濃縮中の液面の様子が全く見えず濃縮が終わったかどうかが分かりませんでした。乾固してはいけないので途中で濃縮の様子を見に行ったり、ノズルの高さを調整しなければならず手間がかかり非効率ですし、担当者のバラつきも出やすく改善したいと思っていました。

ブロックヒーター式の窒素吹付濃縮装置の他にも、50~100mLのメタノール溶液をエバポレーターを使って1本ずつ濃縮していたのですが、かなり時間がかかっていました。PFASの吸着やコンタミの恐れがあるガラス容器は使用したくなかったのですが、ブロックヒーター式は50mLのPP製チューブに対応していませんでしたので…しかたなく…。
どの分析項目においても、時間のかかる濃縮作業はネックでした。
―TurboVapⓇ LVでは標準的なラックで50mLのPP製チューブに対応することができます。弊社のTurboVapシリーズを知ったきっかけなどありますでしょうか?
門田さん:ブロックヒーター式の窒素濃縮装置を使用していてメタノール溶液の濃縮に2時間程度かかっていたんです。濃縮装置も古くなっていて、なんとかならないかと新しい装置を調べているときに水浴式のTurboVapを見つけました。らせん状にガスを吹き付けるガスボルテックスシアリングの仕組みもあって濃縮効率が良さそうと思いました。
―導入の決め手は何だったでしょうか?
門田さん:デモ機をお借りして実際に効率よく濃縮できることが分かったことが大きいですね。
またブロックヒーター式の窒素濃縮装置に比べ使用できる容器の種類が多く、これまで使えなかった試験管やPP製チューブが使用できること、もちろんPFASのバックグラウンドにも問題がなかったことが決め手となりました。
◆TurboVapの導入で濃縮作業の時間が6分の1に!


―導入して良かった点を教えてください。
門田さん:まず、ブロックヒーター式の窒素濃縮装置で使用できなかった口径の大きい容器が使用できるようになりました。これまでは50~100mLのメタノール溶液の濃縮作業に2時間以上かかっていましたが、TurboVapと口径の大きい容器を利用することで20分以下で濃縮作業が終わるようになり、濃縮作業を翌日に繰り越すことがなくその日のうちに測定できるようになりました。また、TurboVapは様々なサイズの濃縮容器に対応できるので、PFASの吸着やコンタミの可能性があるガラス容器を使用する必要がなくなりました。
―濃縮途中の溶液の様子が外から見えるようになりましたが、いかがでしょうか?
門田さん:そうですね。よく見えるのは良いですね。液の残量の確認や、吹付の加減と調整がすごくやりやすくなりました。
―TurboVapにはマニュアル、タイム、メソッドの3つのモードがありますが使用されていますか?
門田さん:TurboVapⓇ LVはメソッドモードをTurboVapⓇ IIはマニュアルモードを使用しています。TurboVapⓇ LVを使用する実験では、濃縮を行う液量がだいたい決まっているので乾固しきる前に窒素吹付が止まるようなプログラムを作成して運用しています。複数本を同時に処理していますが同じぐらいの残量で均一に処理できるので重宝しています。
―装置の操作性はいかがでしょうか?
門田さん:大きなモニター画面がありとても使いやすいです。今どこが動いているのか一目で分かりますし、直感的に操作できるユーザーインターフェイスですよね。
―ありがとうございます。
こんな機能があったら良いな。ここは改善して欲しい。というな点はありますか?
門田さん:窒素ガスの使用量をもう少し抑えることができないでしょうか?(一同笑)
その分パワフルなんですが、稼働が高いと2~3日で7リューベのボンベを交換しなくてはならず…。
―そうですね。使用していないノズルにノズルキャップを付けることで窒素ガスの使用を削減することができますが、すでに貴社では実行されていますね。濃縮を行っている本数から考えると、窒素ガスを節約して上手に使用されているなという印象を受けました。
門田さん:それから、液面センサーがあると良いですね。
以前使用していた装置には液面センサーが付いていてセンサーが働くと窒素ガスの吹付が止まるんです。センサーの位置調整で自動停止するタイミングを調整でき、不必要な濃縮・乾固を避けることができました。TurboVapⓇ LVの場合は、一列同時に窒素ガスの吹付を行っているので難しいかもしれませんが、濃縮する量を調整できる自動停止機能があるとより便利です。
―貴重なご意見ありがとうございます。
TurboVapⓇ IIは液面センサーに対応していますが、センサーを装備したラックと専用の容器が必要です。容器を選ばず濃縮作業が自動で停止できると便利ですよね。開発チームにフィードバックしておきます。
本日は長時間にわたり、ありがとうございました。
インタビュー実施:2025年3月

導入製品
窒素吹付高速パラレル濃縮装置
TurboVap® LV及びTurboVap® II
URL:
https://www.biotage.co.jp/products_top/evaporation/tvlv/
https://www.biotage.co.jp/products_top/evaporation/tvii/
独自のガスボルテックスシアリング技術により、複数のサンプルの濃縮・乾固を同時に且つ高速に行う窒素吹付式の濃縮装置です。TurboVap® LVは、1.5mLバイアルから直径30mm×高さ165mmまでの試験管用にデザインされており、試験管の大きさに応じて48または24サンプルまで同時に濃縮することができます。TurboVap® IIは、50mLまたは200mL容量の濃縮管用にデザインされており、6サンプル同時に濃縮することができます。
利用機関
ユーロフィン日本環境株式会社
URL: https://www.eurofins.co.jp/環境分析/ユーロフィン日本環境株式会社/
ユーロフィンは、食品・環境・製品・アグロ・材料・医薬品検査等を提供するラボラトリーグループであり、世界60カ国に950以上のラボを保有、63,000人の従業員が各種分析サービスを提供しています。日本では国内最大級の環境分析ラボラトリーを保有するユーロフィン日本環境を始め、各社が調査・分析・コンサルティングサービスを提供しています。グループビジョンに掲げる“Testing for Life”の下、分析サービスのグローバルリーダーとして、世界中の人々の健康な生活実現に貢献すべく活動しています。