分析前処理の自動化でスループット向上と
持続可能な組織づくりへ

Extrahera™ LV-200による自動化とユーザーフレンドリーな操作感で
OJT期間の大幅削減を実現

富士製薬工業株式会社
富士製薬工業株式会社

富士製薬工業株式会社は、医療用医薬品の開発・製造・販売を行っています。同社の研究開発本部 研究部では、医薬品の研究開発に伴う課題への取り組みとして、生体試料分析における分析前処理の自動化に着手しました。
自動サンプル前処理装置Extrahera™ LV-200を活用することで、分析前処理作業の時間短縮だけでなく、新たに分析前処理作業に取り組む新入社員の研修期間を大幅に短縮する成果を挙げられたとのことです。
課長の清水隆弘さんと研究員の田中悠一さんにお話をうかがいました。

― まず、貴社の事業や業務内容について教えていただけますか。

清水さん :
当社は、医療用医薬品の開発、製造、販売を事業とし、女性医療や急性期医療を重点領域としています。新薬、バイオシミラー、ジェネリック医薬品の開発を通じて、医療の多様なニーズに応える幅広い製品ラインナップを持っています。私たちの課は、医薬品品質の分析法開発と特殊分析(例えば生体試料や微量不純物分析)を担当しており、特に生体試料分析においては、社内案件を一手に担っています。この生体試料分析の業務で、自動分析前処理装置Extrahera™ LV-200を活用しています。

スループットと生体試料分析の専門的な知識と技術を持つ人材の
確保や育成の難しさが課題だった

― 分析法開発に留まらず社内の特殊分析案件全般も、というのは業務量も多く大変そうですね。Extrahera™ LV-200を導入したきっかけと関係してくるのでしょうか?

清水さん:当社は、長年注射剤の開発に注力してきましたが、最近では錠剤などの固形製剤への研究開発を拡張しています。錠剤では、体内の薬物動態を詳細に追跡する必要があり、これは注射剤とは大きく異なるアプローチが必要で、分析検体数も増加する傾向にありました。このような新たな挑戦は、専門的な知識と技術を持つ人材の確保や育成の難しさを伴い、大きな課題となっていました。

― Extrahera™ LV-200の導入前に、先に弊社の加圧マニホールドPRESSURE+96を導入いただきました。

清水さん:はい、PRESSURE+96を用いたマニュアルベースの前処理は初期検討の条件最適化を行う場面では便利なのですが、一方でコンタミネーションのリスクが高く、そのため担当者に対して長期的なOJTが必要となります。また、液体クロマトグラフィーや質量分析計の進化により分析時間は短縮されましたが、マニュアルでの前処理のスループットが低いことも課題でした。このため、前処理の効率化と自動化、さらには担当者間のばらつきを減らすシステム構築を目指し、分析前処理の自動化を本格的に検討し始めました。

投資回収指標から見るExtrahera™導入の合理性

― 市販の分析前処理装置の中で、弊社のExtrahera™を導入した決め手は何でしょうか。

清水さん:
まず、メソッドの変更に柔軟に対応できる所ですね。1つの装置で様々な前処理メソッドを使い分けることができることは多くの開発案件が並行して進む当社にとって重要な要素でした。ユーザーが必要に応じてメソッドをプログラムし、頻繁な変更にも柔軟に対応できますし、ユーザーフレンドリーなUIでとても使いやすいです。詰まりやばらつきが発生しやすい陰圧方式ではなく、PRESSURE+96と同じ加圧方式であることも魅力の一つです。

田中さん:
オペレータは決まったメソッドを選択して実行するだけなので、使用方法を直ぐに習得することができました。

富士製薬工業株式会社インタビューの様子①

― Extrahera™ではユーザーさんご自身でメソッド変更できるように、使いやすさというのも大事にしています。

清水さん:
また、コスト面では、分析を外注した場合と、前処理自動化にExtrahera™を活用した内製化のコスト比較を行い、投資回収期間を計算しました。これにより、自動化による内製化が外注よりもコスト効率が良いことが明らかになり、強力な説得材料になりました。Extrahera™の導入によって、測定可能検体数の上限が引き上げられたことに加え、人材採用および教育コストが削減され、高い費用対効果が期待できることが明らかになりました。

総合的に、Extrahera™はシンプルで設置スペースが小さいながらも私たちに必要な機能を備えており、導入コストも低く、日本法人によるサポート体制が充足していたことから選択しました。

― ありがとうございます。Extrahera™は試料の容量や固相のサイズに応じて3つのモデルがありますが、導入していただいたLV-200モデルは微量な検体の前処理向けにプレート前処理に特化した低容量モデルです。LV-200を選択した理由についてお聞かせいただけますか。

清水さん:
LV-200を選択した背景には、最新の分析技術の進歩と臨床試験における被験者の負担軽減のニーズがあります。

近年、分析機器の技術進歩により、分析に用いる生体試料の量が従来の200 μL程度から50 μL以下へと減少しています。この変化は臨床試験において被験者から採取する血液量の削減につながり、被験者の負担を大きく軽減することに寄与しています。被験者から1日に10ポイント以上の採血を行う場面では、負担の低減は非常に重要です。

さらに、固相抽出法の技術発展に伴い、スケールダウンが進んでいます。これにより、洗浄や抽出に用いる溶媒量も従来の1000 μLから50 μL程度に削減され、これが新たな標準となっています。LV-200は、このような小規模なスケールの分注に特化しており、私たちのニーズに完全に合致していました。

また、貴社の密接で綿密なサポートが導入決定に大きな安心感を提供しました。これらの理由から、LV-200は当社の前処理の自動化において理想的な選択であると判断しました。

スループット向上とOJT期間の75%短縮を実現!

― Extrahera™ LV-200をどのように運用し、どのような成果が得られていますか?

清水さん:
私たちは、生体試料の除タンパク処理を自動化するために、バイオタージ製のろ過プレートIsolute® Filter+とセットでExtrahera™ LV-200を活用しています。

以前は、この除タンパク処理をマニュアルで行っていましたが、操作技術の習得には半年以上の長期にわたるOJTが必要でした。これは、高いスループットと精度及び真度を保ちつつ、コンタミネーションを防ぐために操作に熟練することが必要だったからです。

しかし、LV-200による自動化によって人の手が介入する工程が大幅に減少し、これまで半年以上かかっていたOJTの期間も約1~2ヶ月に短縮することができました。最近実施した臨床試験では、入社1年半と入社半年の比較的新しいメンバーが分析担当を務めましたが、多数の検体を高いスループットで処理することができました。

これは、分析前処理技術の習得が容易になったことを意味します。

富士製薬工業株式会社Extraheraの操作の様子

― 実際のスループットはどのくらいになったのでしょうか。

清水さん :
Extrahera™ LV-200による前処理は、分析機器の処理スピードを考慮して2プレート/日を上限に運用していますが、この制約を除けば、1人当たり4プレート/日までの処理が実現可能と考えています。

― 導入前は分析のスピードに前処理が追いつかなかったのが、時間的に余裕をもってサンプルの前処理を行えるようになったのですね。

― 最後に、Extrahera™ LV-200や弊社製品に関してご要望やご意見があれば、ぜひお聞かせください。

清水さん :
Extrahera™では、メソッドを途中で停止した場合、途中からのメソッドを再設定する必要があります。このため、途中で停止したメソッドをそのまま再開できる機能があると、作業の効率性が大幅に向上すると思います。

田中さん:
また、操作中に何らかの問題が発生した際の緊急対応についても改善の余地があると思います。現在は一時停止を押しても、プログラムが一定のポイントまで進行した後にしか停止しないため、即時停止してドアをすぐに開けることができるようになると非常に助かります。

― メソッド実行中は安全のためドアが開かない仕様になっていますが、緊急時に即時対応できると良い場面もありますね。開発チームにフィードバックしておきます。

富士製薬工業株式会社インタビューの様子②

― 本日は貴重なお話をいただきありがとうございました。導入の検討時に投資効率を計算し、導入後に顕著な成果を出されたことは素晴らしいですね。

清水さん :
実は、私たちは人手不足という危機感を常に感じています。特に富山県という地域性もあって、都会に比べると人材を確保するのが一層困難です。事業規模に関わらず、自社に適した自動化戦略を見つけ出すことが重要だと考えています。Extrahera™ LV-200は、分析プロセスの効率化や新人スタッフの技術習得を大きく加速させており、研究開発業務の質とスピードの向上に大きく寄与しています。

― ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

インタビュー実施:2023年12月11日
PDFファイルダウンロード(1.0MB)

富士製薬工業株式会社

導入製品

自動サンプル前処理システム
Biotage® Extrahera™ LV-200

URL: https://www.biotage.co.jp/products_top/sample-preparation-products/extrahera/

使いやすいインターフェイスで
微量サンプルの効率的な前処理自動化を実現します。

自動サンプル前処理システムExtrahera LV-200

導入企業

富士製薬工業株式会社

富士製薬工業株式会社は1965年の設立以来、「優れた医薬品を通じて、人々の健やかな生活に貢献する」「富士製薬工業の成長は、わたしたちの成長に正比例する」という経営理念のもと、世界の人々の健やかな生活に貢献し続けるという想いを一つにして難題へ挑み続け、女性医療や急性期医療の領域特化型のスペシャリティファーマとして成長してきました。これからも従来の枠にとらわれることなく、貢献の幅をひろげてまいります。

設立 1965年4月
資本金 37億9,910万円
当社グループ社員数 連結:1,568名(富士製薬:819名 OLIC:749名) (2023年3月31日現在)