テクニカルノート MP-TMT
(金属触媒の除去) |
【ケミカルデータ】
Argoresin MP-TMTは、マクロ多孔質ポリスチレン担持Trimercaptotriazineで、2,4,6- trimercaptotriazine (TMT)のレジン担持等価体です。本レジンは、パラジウム触媒を必要する反応において、生成物から残留するパラジウムを除去する目的として設計されました1)。 パラジウムを介した反応が広範囲に使用されているにも関わらず、反応後処理や目的物の単離をする際の残留パラジウムの除去は依然重要な問題です。活性医薬品成分で必要とされるように、パラジウムの量を百万分の一(ppm)レベルに減らすことは特に大きな課題です2)。 低分子の2,4,6-trimercaptotriazineは、溶液中のパラジウムその他の重金属と結合して沈澱させるために効果的に使用されています3)。 残念ながら、極性有機溶媒中のTMTパラジウム錯体の溶解性により、このアプローチの効果と一般性は制約されます。溶解度の問題に対処するため、TMTを不溶性のゲル状タイプポリスチレン担持体に共有結合で付加することにより、ポリマー担持型のTMTを調製しました4)。 このレジンはTHF溶液中のパラジウム(II)酢酸濃度を1000倍効果的に下げることが実証され5)、かつ、水溶液または非水溶液の双方に存在するパラジウム濃度を非常に効果的に下げることが見いだされています。 Argoresin MPベースのコポリマーは、より頑強で膨潤性の低い物質を生成するためにデザインされているので、容積が制限されている環境(例:マイクロウェーブバイアルおよび96ウェルプレートなど)で理想的です。独自の孔構造によって反応サイトへの接触が高まり、その結果、反応がスピードアップでき、回収率が高まります。耐摩滅性のマトリックスは取扱適性がよく、移行時のロスが少なくなります。Argoresin MP-TMTで処理した後、目的物は、続いて留去される溶液で濾過するだけで単離されます。
表.1 THF溶液中のPdCl2(PPh3)2 除去効率(初期Pd濃度は0.045M)
【一般的な実験手順】 ●PdCl2(PPh3)2 を用いた鈴木カップリング反応からのパラジウム除去
トルエン(110 mL)に添加した1-bromo-4-hydroxymethylbenzene (1.26 g, 6.7 mmol)、3-methoxyphenyl boronic acid (1.11 g, 7.3 mmol)、PdCl2(PPh3)2 (0.5 g, 0.71 mmol)とNa2CO3水溶液(6.7 mL, 0.5 M)の混合物を不活性雰囲気下で80℃で24 時間攪拌しました。その混合物を室温まで冷却し、ブラインで洗浄(2 x 50 ml)しました。有機溶液はMgSO4で乾燥させ、珪藻土の小プラグで濾過して黄色~オレンジ色の溶液を得ました。この溶液の一部は濃縮され、ICP分析によって測定して、パラジウムを重量パーセントで3.34%含有することがわかりました6)。 必要な場合には、過剰ボロン酸はPS-DEAMを使用して除去します7)。 上記の濾液(15 ml)の一部は20μmフリット、ストップコック、キャップのついた空のカートリッジ本体に移しました8)。 それをMP-TMT(0.6 g、0.48 mmol、出発Pdに対して5当量)で処理し、オービタルミキサーで18時間室温にて攪拌しました。溶液を濾過してレジンを除去し、レジンはトルエンで洗浄(2x、10 ml)しました。合わせた濾液をエバポレーションし、淡黄色のオイルを得ました。生成物中の残存パラジウム濃度は<190ppmと測定されました7)。
【参考文献】
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【製品番号】
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